印刷用として作成されたPDFはそのまま出力できるとは限りません。たとえば、墨ベタの上に白抜き文字に光彩を適用し、グレースケールに変換すると、透明を分割したときに画像化した墨ベタ部分が墨100%にならず、背面の塗りつぶしの墨ベタとの間に境界線が生じてしまうことがあります。
Illustrator CS/CS2にEPSを貼り込んでPDF保存すると、画像内に白い境界線が現れます。境界線には法則があり印刷工程ツールにあるプリフライトで調べることが可能です。
またオブジェクトにオーバープリントを指定すると、オーバープリントされて出力されるはずですが、PDFの作成方法や設定によってはオーバープリント指定されているにもかかわらず出力したときオーバープリントされずに出力されてしまうことがあります。
本書では印刷用PDFを出力するときにトラブルになりやすい現象やAcrobatでの使い方を取り上げで解説したトピックをまとめています。Acrobat 8 Pro以降の印刷工程ツールを活用頂く上で知っておきたい「ツボ」ばかりです。
また「印刷事故PDFを取り締まる方法」内のトピックもアプリ内課金として追加しました。Acrobat Pro編、Illustrator編、InDesign編、Word PDF編となっています。
iPhoneおよびiPad対応。縮小されたショットでディテールのわかりにくいところは拡大アイコンを用意しています。拡大アイコンをタップいただくことでそれぞれのショットを原寸で表示して確認頂けます。
このアプリに含まれているのは前編の7つのトピックです。後編の6つトピックと「印刷事故PDFを取り締まる方法」はアプリ内課金でお申し込みいただくとお読みいただけます。
◆前編の主な内容
透明分割の最適値はなぜベクトル100なのか
Acrobat 8 Proでする透明テキスト分割の精度とは
Labカラーと透明効果はAPPEで[色を置換]する
画像内の墨ベタをグレースケールの墨ベタに変換する方法
ヘアラインの置き換えはどのようにして使い分ける?
TouchUpでテキストを削除するとレイアウトが変わる
TouchUpテキストツールは縦組みで使えるか
◆後編の主な内容
Acrobat 8 Proではできないグラデーションの分割・拡張
塗り足しのないPDFを少し大きくしてトンボを追加する
PDF保存したときのEPS画像に入る水平線を調べる方法
[色を置換]フィックスアップは変換設定パネルの順番で決まる
白オブジェクトのオーバープリントをフィックスアップで解除
◆印刷事故PDFを取り締まる方法:Acrobat Pro編
グレースケールに変換できないPDFのグラデーションとは/PDF内のレジストレーショントンボはグレーベタに変換できない?/Acrobat 9 Proでできない二重トンボをムリヤリ作成する方法/特色と透明効果をAcrobat Proで分割・統合したときの謎
◆著者プロフィール
1959年生まれ。DTP最強のWebサイト「DTP-S」主宰。インクナブラ代表。主な著書は「標準DTP出力講座(翔泳社)」「DTPのデジタル印刷営業術(オーム社)」「DTP実務者のためのAcrobat PDF活用ガイド(毎日コミュニケーションズ)」など。