世界が息を呑んだ「40兆円」復興案! 「復旧にあらず、復興なり!!」
大正12年9月の関東大震災によって壊滅した首都圏。その復興の陣頭指揮をとったのが時の内務大臣・復興院総裁の後藤新平である。
このたびの東日本大震災と関東大震災とを安易に比較することはできないが、ともに多数の尊い命を奪い、あまたの市民を絶望の淵へと追いやった激甚災害である。このようなとき、国は、リーダーは、国民は、どうあるべきなのか?今の私たちのそうした問いに対する答えを考えるにあたり、後藤新平という人物は深く知るべき価値を秘めているのではないか。本書には、そのうえで欠かせないと思われる「後藤の復興案」「後藤の著述」「近しい者が後藤を語る」などが集録されている。
〈著者〉
後藤 新平 ごとうしんぺい
安政4年6月4日、現在の岩手県奥州市に水沢藩士後藤実崇の長男として生をうける。廃藩置県後、県に給仕として採用されるが、県令安場保和(のち娘を娶る)に取り立てられ、須賀川医学校(現公立岩瀬病院)に入る。在学中は文武両道で鳴らし、「容貌白皙、才気溢れる如し」と謳われるほどであったという。卒業後、愛知県令に転じていた安場の引きにより弱冠24歳で愛知県立医学校(現名古屋大学医学部)の校長となり、たまたま岐阜で遊説中に暴漢に刺された板垣退助を手当て、「閣下、ご本懐でございましょう」と励まし、重傷の板垣を感激させたという。その後、一時相馬事件で入獄を経験するも、順調に昇進を重ね、内務省衛生局長、陸軍検疫部事務長官、台湾総督府民政長官、満鉄総裁、外務大臣などの要職を歴任。また大正12年に関東大震災が発生するや、内務大臣のまま帝都復興院総裁に就き、内閣の陣頭で手腕をふるい、政治家としての名声を一躍高めた。晩年はボーイスカウトの総長として活動したが、昭和4年、岡山に向かう途中、列車内で倒れ、4月13日に死去した。最後の言葉は、「金を残す者は下、仕事を残す者は中、人を残して死ぬ者が上だ」であったという。
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