浜辺の町に生まれ育ち、戦後高度経済成長期に海岸線の変わっていく様を目の当たりにしてきた写真家が、海岸に沿って位置する日本の原子力発電所の姿と国土の変貌を、淡々と捉えている。一つ一つ標本のように撮影年月日が付されているパワープラント群は、建設後40年あまりで解体される事になっている。これらは紛れもなく現代日本の典型的風景なのである。
我々は便利この上ないものと末永く暮らす事になるのか。はたまた、御しきれないものを手にしてしまったのか。
すでに私達はこれらのエネルギーの恩恵に与り、快適な生活と経済発展を享受してきた。然し乍らこれらは相当なリスクの上に成り立っていた事を改めて痛感する。いま一度、私達はどこへ向かうべきなのか、何をなすべきなのかを熟考し、後世に負の遺産を残すことなく、調和のとれた平和で安全な世界を目指していくことを切望する。