二人の天皇に愛された美貌の宮廷歌人・額田王(ぬかたのおおきみ)が残した万葉集で唯一未解読の<莫囂圓隣之・・・・>の歌。古今の学者から、あの松本清張までもが挑んだ、邪馬台国と並ぶ古代史上最大の謎が解き明かされるとき、千二百年の時を超えて起きた若き万葉学者の不可解な「心中」事件と連続殺人事件の闇が明らかになる。鍵を握る「わとそん」とは誰か。碩学・折口信夫の秘密とは・・・。万葉集成立千二百五十年記念。本格長編ミステリー。
底本 : 角川学芸出版刊 「万葉の暗号 -死者たちの歌-」